食品製造業の受注業務属人化を防ぐ方法を専門家が解説
2026/05/25
受注業務の属人化とは
食品製造業の受注業務で、「この得意先の注文はあの人しか分からない」「ベテランが休むと処理が止まる」と感じていませんか。
受注業務の属人化とは、特定の担当者の経験や記憶に頼らないと、注文処理や確認作業が進まない状態のことです。食品製造業では、FAX、電話、Excel、紙の帳票、得意先ごとの細かなルールが重なりやすく、気づかないうちに属人化が進んでしまいます。
当社Office Achieveでは、食品製造業の受注業務に特化し、こうした「あの人しかできない状態」を、誰でも回せる業務へ変える支援を行っています。大切なのは、いきなり新しいシステムを入れることではありません。まずは現場で何が起きているかを丁寧に見える化し、ムダな確認、二重入力、曖昧な判断を減らすことです。
この記事は、受注ミスや残業、引き継ぎ不安を減らしたい食品製造業の方に向いています。一方で、現場の実態を見ずに一気に仕組みだけ変えたい場合は注意が必要です。改善方法は、FAXや電話の割合、得意先別ルールの多さ、現場が続けられる運用かどうかを基準に選ぶことが重要です。
食品製造業で起きやすい理由
食品製造業で受注業務が属人化しやすい理由は、注文情報の確認項目が多く、例外処理が日常的に発生するためです。単に商品名と数量を入力するだけではなく、荷姿、納期、配送便、賞味期限、在庫、製造予定、得意先別単価まで確認しなければならない場面があります。
たとえば、同じ商品でも「バラ」「ボール」「ケース」で数量の意味が変わります。得意先によっては、正式な商品名ではなく略称で注文されることもあります。さらに、手書きFAXでは文字がつぶれていたり、数字の判別が難しかったりするため、担当者の経験に頼る場面が増えていきます。
ベテラン担当者であれば、「この得意先のこの略称は、実際にはこの商品を指している」と判断できるかもしれません。しかし、その判断が記録されていなければ、新人や別の担当者には分かりません。結果として、確認電話が増えたり、入力作業が遅れたり、誤出荷につながったりします。
当社が現場を見る際も、最初に確認するのは「誰が悪いか」ではありません。どの情報が人の頭の中にあり、どの判断が言葉になっていないのかを見ます。食品製造業の受注業務は、会社全体の動きに直結する入口です。だからこそ、個人の努力だけに頼らない仕組みづくりが欠かせません。
改善が必要な会社の特徴
受注業務の属人化対策が必要な会社には、いくつか共通点があります。特に、受注担当者が休むと周囲が慌てる、得意先ごとのルールが一覧化されていない、注文書の読み方をベテランだけが知っている場合は、早めの改善が必要です。
たとえば、次のような状態がある会社は注意が必要です。
FAXや電話注文が多く、確認作業に時間がかかっている
得意先ごとの略称や単価、納品条件を担当者が記憶している
受注締め時間を過ぎた注文を現場判断で受けている
同じ内容を紙、Excel、基幹システムに何度も入力している
新人に引き継いでも、結局ベテランに確認が戻ってくる
受注ミスが製造や配送の遅れにつながっている
こうした状況は、担当者の能力不足ではありません。むしろ、現場が長年努力して業務を止めずに回してきた結果です。ただし、その努力が個人に偏りすぎると、欠員や退職、繁忙期に一気にリスクが表面化します。
当社では、システム導入を前提にせず、まず今の業務を見える形にすることを重視しています。現場に無理なストレスをかけず、現在の環境のままで減らせるムダを探すことから始めます。受注業務を安定させたい会社にとって、最初の一歩は「今のやり方を責めること」ではなく、「今のやり方を誰でも分かる形にすること」です。
属人化を放置するリスク
受注業務の属人化を放置すると、最初に増えるのは確認作業と残業です。表面上は注文が処理できているように見えても、実際には担当者の経験、記憶、気配りによって何とか回っているだけというケースがあります。
食品製造業では、受注情報が製造計画、在庫管理、ピッキング、配送、売上処理につながります。そのため、受注部門の小さなミスや遅れが、会社全体の負担に広がります。受注業務は単なる事務作業ではなく、営業、製造、物流をつなぐ情報の入口です。
ミスと残業が増える理由
受注業務が属人化している現場では、ミスと残業が同時に増えやすくなります。理由は、判断に必要な情報が標準化されておらず、毎回人に確認しながら処理する必要があるからです。
たとえば、FAXで届いた注文書の数字が読みにくい場合、ベテラン担当者なら過去の経験から判断できるかもしれません。しかし、別の担当者では判断できず、確認電話が必要になります。電話がつながらなければ入力は止まり、後工程の作業も遅れていきます。
また、得意先ごとに「この商品はこの納品形態」「この会社は午前便優先」「この商品名は実際には別品番」といった独自ルールがある場合、情報が整理されていないと毎回確認が発生します。確認が増えるほど入力時間は伸び、午前中に終えるべき処理が午後にずれ込み、残業の原因になります。
さらに、受注ミスは事務部門だけの問題では終わりません。誤出荷が起きれば、返品処理、再出荷、配送調整、営業対応、得意先への謝罪が発生します。食品の場合は賞味期限や保管条件もあるため、商品ロスにつながることもあります。
当社が受注業務改善で重視しているのは、ミスをした人を責めることではありません。ミスが起きやすい帳票、確認が必要になる表現、判断が人に寄っている箇所を整理し、誰でも同じ処理ができる状態へ近づけることです。
締め時間の曖昧さが現場を乱す
受注締め時間が曖昧なままだと、現場全体の負担が増えていきます。締め時間を過ぎた注文を「お客様のために」と受け続けると、事務、製造、物流、配送のすべてに影響が出るためです。
たとえば、配送トラックが出発する直前に電話注文が入ったとします。受注担当者は急いで入力し、在庫を確認し、倉庫や製造へ連絡します。倉庫ではピッキングのやり直しが発生し、配送担当者は出発を待つことになります。場合によっては、製造現場で急な段取り替えが必要になるかもしれません。
このような対応は、一見すると柔軟で親切な対応に見えます。しかし、例外対応が当たり前になると、現場では常に割り込みが発生します。結果として、他の得意先の出荷準備が遅れたり、確認不足によるミスが起きたり、残業が常態化したりします。
もちろん、すべての締め時間後注文を一律に断ればよいわけではありません。重要な得意先や特別な事情がある場合は、営業判断が必要になることもあります。ただし、その判断を受注担当者だけに任せてしまうと、属人化はさらに強まります。
当社では、締め時間を超えた注文の件数、得意先、時間帯、発生理由を記録することをおすすめしています。そのうえで、「安定した納品品質を守るため」「配送ミスを防ぐため」という目的を得意先に丁寧に伝え、現場が無理なく守れるルールへ整えていきます。
属人化をなくす進め方
受注業務の属人化をなくすには、順番が大切です。最初から大きなシステムを導入するのではなく、まず現場で起きているムダ、迷い、二重入力、確認作業を整理します。そのうえで、ルール化、自動化、システム化へ進むと、現場に定着しやすくなります。
当社では、食品製造業の受注現場に入る際、受注担当者の動き、帳票の流れ、確認の回数、システムへの入力状況を細かく見ます。業務改善は、会議室だけで考えても進みません。現場で実際に何が起きているかを見ることで、初めて本当に減らすべきムダが見えてきます。
まず紙とFAXを見直す
受注業務の属人化解消で最初に取り組みやすいのは、紙とFAXの見直しです。FAXをすぐになくせない会社でも、注文書の形を変えるだけで確認作業を減らせる場合があります。
具体的には、直近数日分の注文書を集め、読みにくかった文字、誤解しやすい略称、確認電話が必要だった項目を洗い出します。そのうえで、記入枠を大きくする、商品名を選択式にする、数量欄を分ける、単位を明記する、記入例を入れるなどの改善を行います。
たとえば、よく注文される商品をあらかじめ注文書に印字し、数量だけ記入してもらう形にすれば、手書きの商品名を読む必要が減ります。数量も「ケース」「バラ」などを分けて記入できるようにすれば、入力時の迷いを減らせます。
また、ベテランが頭の中で処理している「この略称はこの商品」「この得意先のこの書き方はこう読む」といった情報は、Excelなどで一覧化して共有することが大切です。これにより、新人や代替担当者でも確認しながら処理できるようになります。
当社では、FAXや紙を否定するところからは始めません。現場や得意先の状況によっては、すぐにWeb注文へ切り替えられない場合もあるからです。まずは今ある注文方法の中で、迷う箇所を減らすことが現実的な改善になります。
判断基準まで共有する
属人化を本当に減らすには、作業手順だけでなく判断基準まで共有する必要があります。マニュアルに操作手順だけを書いても、例外が起きたときに判断できなければ、結局ベテランに確認する状態が残るためです。
たとえば、在庫が不足している場合に、どの得意先へ先に連絡するのか。締め時間後の注文を受ける場合、誰の承認が必要なのか。欠品時に代替品を提案してよいのか。納期変更が必要な場合、営業と製造のどちらへ先に確認するのか。こうした判断が曖昧なままだと、担当者ごとに対応が変わります。
食品製造業では、忙しいときほど判断基準が重要になります。納期を守ることは大切ですが、品質確認やアレルギー対応、衛生管理に関わる確認を省くことはできません。何を優先し、何を調整するのかを事前に決めておくことで、現場の迷いを減らせます。
判断基準を整理するときは、「もし〇〇なら、△△する」という形にすると使いやすくなります。たとえば、「締め時間を30分以上過ぎた注文は、受注担当者だけで判断せず責任者へ確認する」「欠品が発生した場合は、入力前に営業へ連絡する」といった形です。
当社の改善支援でも、作業の流れだけでなく、現場が迷っている判断の線引きを重視します。受注業務を誰でも回せるようにするには、ベテランの勘を否定するのではなく、組織で使えるルールへ変えることが大切です。
システム化の前に整える
システム化は有効な手段ですが、業務が整理されていない状態で導入すると、現場に定着しにくくなります。受注業務の属人化をなくすには、システムを入れる前に、商品マスタ、得意先別ルール、締め時間、例外対応、承認フローを整えることが重要です。
たとえば、Web受発注システムを導入する場合でも、商品名や荷姿、単価、得意先別の注文条件が整理されていなければ、設定段階で混乱します。RPAを使って受注データの取得を自動化しても、その後の修正や判断が人に残っていれば、属人化は別の場所に移るだけです。
一方で、業務を整えた後のシステム化は大きな効果が期待できます。Web受発注であれば、電話の聞き間違いやFAXの判読作業を減らせます。RPAであれば、取引先指定サイトからのデータ取得や定型作業を自動化できます。EDIや基幹システム連携を整えれば、受注情報を製造、在庫、出荷へつなげやすくなります。
当社は、新たなシステム導入を一切前提にしていません。まず今の環境で省けるムダを徹底的に見ます。そのうえで、システム化したほうがよい部分と、人の判断として残すべき部分を分けて考えます。
受注業務の改善で大切なのは、「便利そうなツールを入れること」ではありません。現場が迷わず使え、業務が止まらず、得意先にも負担をかけすぎない形に整えることです。
費用と確認したい点
受注業務の属人化解消にかかる費用は、改善する範囲によって変わります。注文書の見直しや業務フロー整理から始める場合と、Web受発注システム、RPA、EDI、基幹システム連携まで進める場合では、必要な費用も準備期間も異なります。
費用を見るときは、導入金額だけで判断しないことが大切です。残業時間、確認電話、入力ミス、返品対応、引き継ぎ時間、担当者不在時のリスクまで含めて考える必要があります。受注業務は毎日発生するため、1日数十分のムダでも年間では大きなコストになります。
改善費用は範囲で変わる
受注業務改善の費用は、どこまで支援を受けるかによって変わります。注文書の見直しやルール整理だけであれば比較的始めやすい一方、現場調査、業務フロー作成、改善計画、定着支援まで行う場合は、支援期間や対象部署によって費用が変わります。
システムを導入する場合は、初期費用、月額利用料、設定費、連携費、教育費などが発生することがあります。食品製造業向けの受発注システムでは、得意先別単価、複数荷姿、注文履歴、在庫連携などに対応できるものもありますが、その分、導入前の整理が重要になります。
小規模な会社では、低コストで始められる受発注サービスが合う場合もあります。ただし、安価なサービスほど、対応できる取引条件や連携範囲に限りがあることもあります。受注件数が増えたときの料金、得意先数の上限、既存システムとの連携可否は事前に確認が必要です。
当社へご相談いただく場合も、最初に確認するのは「どれくらいの費用をかけるか」ではなく、「何に困っているか」です。残業を減らしたいのか、ミスを減らしたいのか、退職リスクに備えたいのかによって、必要な改善範囲は変わります。費用を抑えるためにも、まず課題を正しく絞ることが大切です。
追加費用が出やすい部分
追加費用が出やすいのは、システム本体よりも、設定、連携、マスタ整備、教育、運用変更の部分です。食品製造業の受注業務は得意先ごとの個別ルールが多いため、標準設定だけで済まない場合があります。
たとえば、商品マスタに表記ゆれがある場合は、導入前に整理が必要です。同じ商品が複数の名前で登録されていたり、得意先別に呼び方が違ったりすると、Web受発注や自動連携をしてもミスが残ります。得意先別単価や納品条件が担当者の記憶にある場合も、事前に一覧化しなければなりません。
また、基幹システムへ受注データを連携する場合、データ形式の調整や取り込みルールの設定が必要になることがあります。取引先指定のWeb画面、EDI、FAX、メールが混在している場合は、受注経路ごとの運用ルールも決め直す必要があります。
教育費用や定着支援も見落とせません。新しい仕組みを入れても、現場が使いにくいと感じれば、以前のやり方に戻ってしまいます。得意先にも操作してもらう場合は、案内文、操作手順、問い合わせ対応も必要です。
当社では、追加費用が膨らむ前に、まず現場の業務を整理することをおすすめしています。どこまでを人が行い、どこからを仕組みで支えるのかを明確にすれば、必要以上に大きな導入を避けやすくなります。
相談前に整理したいこと
受注業務の改善を相談する前に、現在の受注経路と困っている内容を整理しておくと、話がスムーズに進みます。完璧な資料を用意する必要はありませんが、現場の実態が分かる情報があると、改善の方向性を判断しやすくなります。
まず確認したいのは、FAX、電話、メール、Web、EDIの割合です。次に、1日の受注件数、受注が集中する時間帯、締め時間後の注文件数、確認電話の件数、入力ミスや返品の発生状況を見ます。
あわせて、得意先別の特殊ルールも整理しておくと役立ちます。たとえば、特定の得意先だけ納品時間が違う、商品名の呼び方が違う、単価条件が異なる、欠品時の連絡方法が決まっているといった内容です。こうした情報が担当者の頭の中だけにある場合、属人化の大きな原因になります。
現場の動きも重要です。受注担当者が注文書を印刷し、別の場所へ確認に行き、Excelに入力し、さらに基幹システムへ転記している場合、そこには改善余地があります。紙の流れ、人の動き、確認の回数を見れば、どこにムダがあるかが分かりやすくなります。
当社へ相談いただく際も、最初から答えを決めておく必要はありません。「何から手をつければよいか分からない」という段階でも問題ありません。現場を見て、課題を整理し、無理のない順番で改善策を考えることができます。
当社が支援できること
Office Achieveは、食品製造業に特化した受注業務改善コンサルティングを行っています。当社が大切にしているのは、現場の実態を見ずに理想論を押しつけないことです。
代表の山内啓史は、42年間食品製造業界に従事し、物流や受注業務の現場に深く関わってきました。全国7拠点の受注センターを1つに統合した経験や、受注体制の見直し、繁忙期対応、BCP対策など、実務の中で培った知見をもとに支援しています。
当社の改善は、システム導入ありきではありません。今の環境のままで業務のムダを徹底的に省き、誰でも回せる仕組みを作ることを重視しています。
現場に入って課題を見える化する
当社の支援では、まず現場に入り、受注業務の流れを丁寧に確認します。机上のヒアリングだけでは、現場で起きているムダや迷いは見えにくいからです。
たとえば、受注担当者がどの帳票を見ているのか、どのタイミングで確認電話をしているのか、どこで二重入力が発生しているのか、誰に判断を仰いでいるのかを見ます。オフィス内の移動、書類の受け渡し、印刷物の確認、システム入力の順番まで見ることで、停滞している箇所が分かります。
受注業務の課題は、受注部門だけで完結しません。営業が持っている得意先情報、製造現場の段取り、物流の出荷時間、在庫管理のルールとつながっています。そのため、当社では受注を会社の情報ハブとして捉え、営業、製造、物流を含めた全体の流れを見ながら改善策を考えます。
また、当社では現場の方に過度なストレスを与えない進め方を大切にしています。いきなり大きく変えるのではなく、今のやり方の中で減らせるムダを見つけ、現場が納得して続けられる形に整えます。
「あの人しかできない」状態をなくすには、現場で積み重ねられてきた経験を否定するのではなく、組織全体で使える形に変えることが必要です。当社は、その整理と定着を支援します。
1年で定着を目指す進め方
当社では、受注業務改善を一時的な改善で終わらせず、1年で定着させることを目指します。大切なのは、改善策を作るだけでなく、現場で実際に使われ続ける状態にすることです。
進め方は、まず目指すべき目標を明確にすることから始まります。残業時間を減らしたいのか、受注ミスを減らしたいのか、担当者依存をなくしたいのか、BCP対策として欠員時にも止まらない体制を作りたいのかを整理します。
次に、現場調査と現状分析を行います。受注経路、帳票、入力作業、確認作業、例外対応、締め時間の運用を見ながら、どこにムダや属人化があるかを明らかにします。そのうえで、具体的な改善策を立案し、現場と一体になって実行します。
改善策は、注文書の見直し、業務フローの整理、得意先別ルールの一覧化、締め時間の運用改善、二重入力の削減、役割分担の見直しなど、会社ごとの状況に合わせて設計します。必要に応じてシステム活用を検討することもありますが、新たなシステム導入を一切前提にしない点が当社の特徴です。
最終的には、誰でも回せる仕組みとして定着させることを目指します。担当者が変わっても業務が止まらず、欠員や災害時にも揺るがない組織を作ることが、受注業務改善の大きな目的です。
よくある質問
FAXを残したまま改善できますか
FAXを残したままでも改善は可能です。すべての得意先を一気にWeb注文へ切り替えるのが難しい食品製造業では、まずFAX注文書の見直しから始める方法が現実的です。
たとえば、読みにくい文字が発生しやすい欄を広げる、商品名を選択式にする、数量の単位を明確にする、記入例を入れるといった改善があります。これだけでも、確認電話や入力時の迷いを減らせる場合があります。
また、ベテランが頭の中で行っている読み替えを一覧化しておくことも重要です。「この略称はこの商品」「この得意先はこの単位で注文する」といった情報を共有できれば、担当者が変わっても処理しやすくなります。
ただし、FAXを残す場合、手入力や確認作業が完全になくなるわけではありません。受注件数が多い会社や、読み間違いによる出荷ミスが多い会社では、段階的にWeb受発注や自動化も検討したほうがよいでしょう。
当社では、FAXをすぐになくすことを前提にせず、現場と得意先の状況に合わせて改善手順を考えます。
ベテラン退職前に何をすべきですか
ベテラン担当者が退職する前に行うべきことは、作業手順だけでなく判断基準を聞き出すことです。画面操作や入力手順は後から確認できる場合もありますが、得意先ごとの癖や例外対応は、本人に聞けるうちに整理しないと失われやすくなります。
具体的には、よく迷う注文、読み替えが必要な商品名、締め時間後の対応、欠品時の連絡先、優先すべき得意先、過去にトラブルが起きた条件などを一覧にします。
特に大切なのは、「どの順番で確認しているか」を残すことです。ベテランは無意識に、注文書、在庫、得意先情報、製造予定を見ながら判断していることがあります。その流れを言葉にしなければ、後任者は同じ判断ができません。
本人にマニュアルを書いてもらうだけでは、抜け漏れが出ることもあります。長年担当している人ほど、自分にとって当たり前の判断を説明し忘れやすいためです。可能であれば、第三者が作業を横で見ながら質問し、判断内容を記録する方法が有効です。
退職が決まってから慌てるのではなく、普段から「その人が休んでも処理できるか」を確認しておくことが大切です。当社では、こうした暗黙の判断を見える形にする支援も行っています。
システム導入だけで解決しますか
システム導入だけで受注業務の属人化が解決するとは限りません。システムは有効な手段ですが、業務ルールや商品マスタ、得意先別条件が整理されていなければ、現場に合わない運用になってしまうことがあります。
たとえば、Web受発注システムを入れても、商品名や荷姿、単価設定が曖昧なままだと、設定や運用でつまずきます。RPAを使ってデータ取得を自動化しても、取得後の修正や判断が人に残っていれば、属人化は別の場所に移るだけです。
一方で、業務を整理した後のシステム導入は大きな効果が期待できます。電話注文の聞き間違いを減らし、FAXの手入力を減らし、受注データを在庫や製造へつなげやすくなるためです。
当社では、システム導入を否定しているわけではありません。ただし、導入の前に「何を自動化するのか」「どの判断を人に残すのか」「どの業務を先に整えるのか」を明確にすることを大切にしています。
システムを入れるかどうかで迷っている場合は、まず現場の受注経路、確認作業、二重入力、例外処理を整理することをおすすめします。そのうえで必要な仕組みを選べば、導入後の失敗を防ぎやすくなります。
小規模な食品会社でも必要ですか
小規模な食品会社でも、受注業務の属人化対策は必要です。人数が少ない会社ほど、特定の担当者に業務が集中しやすく、その人が休んだり退職したりしたときの影響が大きくなるためです。
たとえば、1人の事務担当者が電話、FAX、受注入力、在庫確認、請求処理まで担っている場合、その人が不在になるだけで業務が止まる可能性があります。少人数の会社では、代わりに対応できる人をすぐに用意することが難しいため、最低限の業務を誰でも処理できる状態にしておくことが重要です。
ただし、小規模な会社が最初から大きなシステムを入れる必要はありません。注文書の統一、得意先別ルールの一覧化、締め時間の明確化、商品マスタの整理など、費用を抑えて始められる改善もあります。
むしろ小規模な会社ほど、改善の効果が早く現れやすい場合があります。確認作業が減る、入力時間が短くなる、担当者の心理的負担が軽くなるなど、日々の業務で変化を感じやすいためです。
会社の規模に関係なく、「あの人に聞かないと分からない」状態があるなら、早めに見直す価値があります。当社では、会社の規模や現場の状況に合わせて、無理のない改善方法を一緒に考えます。
受注締め時間はどう伝えるべきですか
受注締め時間を得意先に伝えるときは、自社都合ではなく、安定した納品とミス防止のために必要なルールとして説明することが大切です。単に「締め時間を守ってください」と伝えるだけでは、相手に負担を押しつけている印象になりやすいためです。
まずは、締め時間後の注文がどれくらい発生しているかを記録します。どの得意先から、何時ごろ、どのような注文が入っているのかを把握することで、個別に相談しやすくなります。
伝える際は、「出荷ミスを防ぐため」「確実に商品を届けるため」「製造や配送の遅れを防ぐため」といった理由を添えると理解されやすくなります。いきなり厳格に運用するのではなく、移行期間を設けて案内する方法も有効です。
ただし、重要な得意先や特殊な契約がある場合は、現場判断だけで一律に断るのは避けるべきです。例外を認める場合も、誰が承認するのか、どの条件なら対応するのかを決めておく必要があります。
受注締め時間は、現場を縛るためのルールではありません。安定した品質、正確な出荷、無理のない働き方を守るためのルールです。当社では、得意先との関係を大切にしながら、現場が疲弊しない運用づくりを支援しています。
食品製造業の受注属人化対策
- 食品製造業の受注業務は商品数や荷姿、納期条件が複雑で属人化しやすい
- FAXや電話が多い現場では読みにくい文字や聞き間違いがミスの原因になりやすい
- ベテランの経験だけで回る状態は休職や退職のときに大きなリスクになる
- 属人化解消はシステム導入より先に業務の見える化から始めるべき
- 注文書の記入枠拡大や選択式への変更だけでも確認作業は減らせる
- 得意先ごとの略称や読み替えは一覧化して共有財産にすることが重要
- 締め時間後の例外注文は製造や物流の遅れにつながるため記録して管理する
- 作業手順だけでなく迷ったときの判断基準まで残す必要がある
- Web受発注やRPAは業務ルールを整理した後に使うと定着しやすい
- 費用は導入費だけでなく設定や連携、教育、運用変更まで見るべき
- 小規模な食品会社でも担当者依存があるなら早めの対策が必要
- Office Achieveは食品製造業の現場に入り受注業務の改善を支援する
- 当社は新たなシステム導入を前提にせず今の環境で省けるムダを探す
- 受注業務は会社全体の情報の入口であり改善効果が広がりやすい
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株式会社Office Achieve
住所 :
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電話番号 :
03-5834-2605
食品に関する業務改善を支援
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