取引先がFAXをやめられなくても大丈夫?受注業務改善の進め方
2026/08/05
食品製造業のFAX受注は廃止せずに改善可能
取引先の注文方法を変えずに社内作業を効率化
食品製造業のFAX受注改善とは、取引先のFAX注文を残したまま、受信後の確認・入力・共有作業を整理し、受注精度と作業効率を高める取り組みです。
取引先にWeb注文への変更をお願いできれば、注文情報を最初からデータとして受け取れます。しかし、すべての取引先が新しい方法に移行できるとは限りません。長年FAXで注文している小売店や飲食店では、発注担当者の操作負担や社内手続きが障壁になることもあります。
その場合は、取引先側を変えるのではなく、自社の受信後の業務を変えます。たとえば、紙で届いていたFAXをデータで受信し、OCRで文字を読み取り、担当者が確認したうえで受注システムへ登録する流れです。
FAXを残すことと、アナログな作業を残すことは同じではありません。注文手段は維持しながら、社内の転記や回覧を減らすことが改善の第一歩になります。
FAX受注改善に向いている企業と注意したい企業
FAX受注改善は、受注件数が多い企業だけに必要な取り組みではありません。受注件数がそれほど多くなくても、入力や確認に時間がかかっている場合や、特定の担当者しか処理できない場合は、改善効果を見込めます。
特に、次のような状況では早めに業務を見直す価値があります。
改善に向いている状況
- 毎日同じ内容を基幹システムへ手入力している
- 得意先ごとに注文書の形式が違う
- 商品コードや単位の読み替えに時間がかかる
- 入力後のダブルチェックに多くの人手を使っている
- 担当者が休むと受注処理が遅れる
- 繁忙期に残業や応援要員が増える
一方、商品コード、得意先コード、納品先情報などのマスターが整理されていない企業では、OCRを導入しても確認作業が多く残る可能性があります。入力作業だけでなく、その前後にある判断や照合作業まで確認することが重要です。
FAX受注の改善方法と選び分け
OCR・AI-OCRで注文書をデータ化する方法
OCRは、FAXや画像に記載された文字を読み取り、データへ変換する仕組みです。注文日、得意先名、商品名、数量、納品日などを読み取れれば、担当者がすべてを手入力する必要がなくなります。
AI-OCRは、帳票の位置や文字の特徴を学習し、形式が一定でない書類や手書き文字にも対応しやすい仕組みです。ただし、どの注文書でも完全に読み取れるわけではありません。FAXのかすれ、文字の重なり、手書きの癖、枠からはみ出した記入などにより、認識結果の確認が必要になります。
重要なのは、読み取り精度だけで製品を選ばないことです。読み取った情報をどのように商品コードへ変換するのか、数量や単位をどう確認するのか、エラーが出たときに誰が修正するのかまで決める必要があります。
帳票の種類が少なく、記入位置がほぼ固定されている場合は、一般的なOCRでも対応しやすくなります。得意先ごとに書式が大きく異なる場合や手書きが多い場合は、AI-OCRや事前の帳票整理を含めて検討します。
クラウドFAX・RPA・受発注システムの役割
クラウドFAXは、受信したFAXを紙に印刷せず、PDFなどのデータとして確認できる仕組みです。複数拠点や在宅環境でも確認しやすく、紙の仕分けや保管を減らせます。
ただし、クラウドFAXだけでは基幹システムへの入力作業はなくなりません。受信方法を紙からデータへ変える仕組みであり、入力を減らすにはOCRやシステム連携との組み合わせが必要です。
RPAは、決められた手順に沿ってパソコン操作を自動化します。OCRで読み取ったデータを既存システムへ入力するような、繰り返し作業に向いています。一方、注文内容によって確認方法が頻繁に変わる業務や、人の判断が多い業務には適さない場合があります。
受発注システムは、注文情報、在庫、出荷、売上などを一元管理しやすい方法です。管理範囲が広い分、運用変更やマスター整備の負担も大きくなります。現在の課題がFAXの受信と入力だけであれば、最初から全体を入れ替えず、既存環境を活かした改善も選択肢になります。
Web受注やEDIへの移行を検討する判断基準
取引先の協力を得られる場合は、Web受注やEDIへの移行によって、注文情報を最初からデータで受け取れます。転記が発生しないため、長期的には大きな効率化につながります。
ただし、すべての取引先を一度に切り替える必要はありません。大口取引先や注文頻度が高い取引先からWeb受注へ移し、小規模な取引先や移行が難しい取引先はFAXを継続する方法もあります。
改善方法を選ぶ際は、次のように整理すると判断しやすくなります。
- 帳票がほぼ固定されている場合は、OCRによる入力削減を検討
- 紙の仕分けや保管が負担の場合は、クラウドFAXを検討
- 既存システムへの定型入力が多い場合は、RPAやデータ連携を検討
- 取引先が操作変更に対応できる場合は、Web受注を検討
- 大口取引先との定型的なデータ交換が多い場合は、EDIを検討
- 在庫や出荷まで含めて見直す場合は、受発注システムを検討
一つの方法だけに統一せず、得意先や帳票の種類によって複数の方法を併用することも現実的です。
食品製造業でFAX受注の改善が難しい理由
得意先ごとに異なる注文書と商品表記
食品製造業の受注では、得意先ごとに注文書の形式や記載方法が異なります。同じ商品でも、正式な商品名、略称、旧商品名、得意先独自の商品コードなど、さまざまな表現で注文されることがあります。
単位の違いも注意が必要です。「1」と書かれていても、1個、1ケース、1ボール、1箱のどれを意味するかは得意先や商品によって変わります。OCRが文字を正しく読み取っても、社内の商品コードや出荷単位へ正しく変換できなければ、自動登録にはつながりません。
そのため、FAX受注改善では帳票の読み取りと同時に、得意先別の商品対応表や単位変換ルールを整理します。担当者の経験だけで処理していた内容を明文化することで、入力ミスの削減と属人化の解消を進めやすくなります。
スーパー・外食・給食・OEMで異なる受注フロー
食品製造業の受注フローは、販売先によって大きく異なります。
スーパー向けでは、店舗別やセンター別の納品、特売、締め時間、欠品時の代替対応などが受注処理に影響します。外食チェーン向けでは、店舗ごとの発注と本部管理が混在し、配送ルートや曜日による制約が発生する場合があります。
学校給食では、献立や納入日が事前に決まっていても、数量変更や休校対応などの例外処理が必要です。OEMでは、製造ロット、資材、納期、製造計画との調整が受注時点から求められます。
同じFAX受注でも、単純に注文内容を入力するだけの業務とは限りません。注文を受けた後に、在庫、製造、物流、営業へどのように情報を渡しているかまで確認する必要があります。
入力作業だけを変えても改善が進まない原因
受注業務の問題は、手入力だけにあるとは限りません。担当者しか分からない判断、口頭での確認、注文書への書き込み、複数ファイルへの転記が残っていると、入力を自動化しても作業時間が十分に減らないことがあります。
株式会社Office Achieveでは、受注業務の停滞を、属人化、情報共有不足、アナログ作業、生産性低下が連鎖する問題として捉えています。会社資料でも、特定の担当者しか対応できない状態や連携ミスが、業務停滞の悪循環につながることを示しています。
FAX受注を改善する際は、「誰が入力しているか」だけでなく、「どこで判断しているか」「誰に確認しているか」「入力後に何を転記しているか」まで洗い出します。不要な作業をなくしてから自動化することで、導入後の効果を高めやすくなります。
FAX受注改善を進める5つの手順
現状分析と改善目標の設定
最初に行うのは、ツールの選定ではなく現状の把握です。FAXの受信件数、帳票の種類、受注処理にかかる時間、入力項目、確認回数、ミスの内容を整理します。
現状を確認する際は、担当者への聞き取りだけでなく、実際の作業を観察することが重要です。手順書には書かれていない確認や、担当者が無意識に行っている判断が見つかることがあります。
改善目標も具体的に設定します。「効率化する」という目標だけでは、導入後に成果を判断できません。入力時間、残業時間、確認回数、修正件数、処理待ち時間など、現在の状態を計測しておくと比較しやすくなります。
小規模なテスト運用とマスター整備
改善方法を決めたら、すべての帳票を一度に切り替えず、対象を絞って試します。注文量が多く、帳票形式が安定している得意先から始めると、効果と問題点を確認しやすくなります。
テスト運用では、OCRの読み取り率だけでなく、担当者が修正にかかる時間や、商品コードへの変換精度も確認します。読み取り精度が高くても、毎回商品を検索し直す必要があれば、十分な削減効果は得られません。
この段階で、得意先マスター、商品マスター、納品先マスター、単位変換ルールを整備します。表記ゆれや重複コードを放置したまま連携すると、エラーや誤登録の原因になります。
現場への定着と効果測定
テストで課題を修正した後は、対象となる得意先や帳票を段階的に広げます。運用開始時には、正常に処理できた場合だけでなく、読み取りエラーや注文変更が発生した場合の対応も決めておきます。
担当者ごとに処理方法が変わらないよう、確認手順と修正ルールを共有します。ただし、手順書を作成するだけでは定着しません。実際の受注処理を一緒に確認し、現場から出た疑問や負担を反映しながら調整する必要があります。
導入後は、作業時間、入力ミス、確認回数、残業時間などを定期的に計測します。想定どおりに削減できていない場合は、ツールの性能だけでなく、前後工程に不要な作業が残っていないかを見直します。
導入費用と投資効果の考え方
費用が変わる主な要因
FAX受注改善にかかる費用は、利用する仕組みと対象範囲によって変わります。材料に具体的な料金情報がないため、一律の金額は示せませんが、主に初期設定、月額利用料、帳票設定、システム連携、マスター整備、運用支援などが費用に影響します。
OCRでは、読み取る帳票数や項目数、月間処理枚数によって料金が変わる場合があります。基幹システムとの自動連携を行う場合は、データ形式の調整や追加開発が必要になることもあります。
また、見落とされやすいのが社内側の準備費用です。商品マスターの整理、帳票の分類、担当者への説明、テスト運用にも時間がかかります。製品価格だけでなく、導入準備と運用後の確認作業を含めて判断する必要があります。
削減時間と人件費から考える投資回収
投資効果は、システムの価格ではなく、現在発生している作業時間と比較して考えます。受注1件あたりの入力時間、1日の処理件数、確認者の人数、繁忙期の残業時間を整理すると、削減可能な時間を試算できます。
たとえば、1件の処理時間を数分短縮できても、件数が多ければ年間では大きな削減になります。一方、受注件数が少なく例外処理が多い場合は、自動化よりも帳票統一や手順整理の方が効果的なこともあります。
Office Achieveの事業案内では、受注担当者5名を想定した改善例として、新しいシステムへの追加投資を行わず、属人化の排除と無駄な作業時間の削減によって年間約200万円のコスト削減を見込むシミュレーションが示されています。これは個別企業の成果を保証する数値ではなく、改善内容や人員構成によって結果は変わります。
見積もり前に整理したい確認事項
見積もりを依頼する前に、現在の業務量と希望する改善範囲を整理しておくと、必要な機能を判断しやすくなります。
- 1日または1か月のFAX受信件数
- 得意先数と注文書の種類
- 手書き注文書の割合
- 受注登録に使用しているシステム
- 商品コードや単位の表記方法
- 入力後に行う確認や転記作業
- 改善したい作業と現在困っていること
単に「OCRを導入したい」と伝えるより、「毎日何時間かかっている入力作業を減らしたい」「特定担当者しかできない商品コード変換を標準化したい」と伝える方が、適切な提案を受けやすくなります。
Office AchieveのFAX受注改善支援
システム導入を前提にしない現場密着型の改善
株式会社Office Achieveは、食品製造業に特化し、受注業務やバックオフィス業務の可視化、業務フローの整理、改善提案、人材育成を支援しています。紙、FAX、Excelを使う業務についても、現場の実態を確認しながら改善を進める方針です。
私たちは、新しいシステムを入れること自体を目的にしていません。現在の環境で減らせる作業があれば、まずは手順、役割分担、情報共有の方法を見直します。そのうえで、OCRやクラウドFAX、システム連携が必要な部分を見極めます。
代表は食品製造業界で42年の経験を持ち、物流・受注業務に長く携わってきました。全国7拠点の受注センターを1拠点に統合した経験や、人員体制を60名から40名へ見直した実績も事業案内に掲載されています。
誰でも回せる仕組みをつくる1年間の改善計画
Office Achieveでは、現場の調査と現状分析から始め、改善策の立案、実行、定着までを段階的に進めます。
事業案内では、最初に目標を明確にし、現場調査と現状分析を行ったうえで具体的な改善策を立案します。その後、現場と一体になって施策を実行し、特定の人に依存しない仕組みとして定着させる5つのステップを、1年間で進める計画が示されています。
FAX受注改善でも同じように、ツールを導入して終わりにせず、担当者以外でも処理できる状態を目指します。欠員や繁忙期にも業務が止まりにくい仕組みをつくることは、日常の効率化だけでなく、事業継続の面でも重要です。
相談前に準備したい情報
ご相談時には、完成された業務フローや資料がなくても問題ありません。現在使用している注文書や入力画面、担当者が困っていることが分かれば、状況整理から始められます。
特に、注文書のサンプル、受注件数、処理にかかる時間、使用中のシステム、入力ミスや確認作業の内容が分かると、課題を把握しやすくなります。
「FAXを残したまま改善できるか分からない」「システムを入れる前に業務を整理したい」という段階でもご相談いただけます。必要な作業と、現在の環境で減らせる作業を分けながら、現場に負担をかけにくい進め方を検討します。
食品製造業のFAX受注改善に関するFAQ
取引先がFAXを使い続けても改善できますか?
取引先の注文方法を変えずに改善できる場合があります。受信したFAXをデータ化し、OCRによる読み取りや基幹システムへの連携を行えば、取引先は従来どおりFAXを送信できます。
ただし、帳票の状態や記入方法によっては確認作業が残ります。最初から完全自動化を目指すのではなく、受信、仕分け、入力、確認のうち、どこを減らせるかを順番に検討する方法が現実的です。
手書きの注文書でもOCRを利用できるか
手書き対応のAI-OCRで読み取れる場合がありますが、文字の癖、FAXのかすれ、記入位置によって精度は変わります。数字は比較的読み取れても、商品名や備考欄の自由記述は確認が必要になることがあります。
導入前には、実際の注文書を使ったテストが欠かせません。認識率だけでなく、担当者が修正する時間や誤認識した場合の確認方法も含めて評価します。
現在の基幹システムとの連携可否
連携できるかどうかは、基幹システムが取り込めるデータ形式や外部連携機能によって変わります。CSVファイルの取り込みに対応していれば、OCRで作成したデータを加工して登録できる場合があります。
外部連携機能がない場合でも、RPAによる入力や、既存のインポート機能を利用できる可能性があります。システム名、バージョン、現在の入力方法を確認したうえで判断が必要です。
FAX受注改善にかかる期間と費用の確認事項
期間と費用は、帳票数、得意先数、連携範囲、マスターの状態によって変わります。特定の得意先だけを対象にする小規模な改善と、受注から出荷までを見直す改善では、必要な準備が異なります。
見積もり時には、初期設定費だけでなく、月額費用、帳票追加費用、システム連携費用、運用支援費用を確認してください。導入後に帳票や得意先が増えた場合の費用も確認しておくと安心です。
現場がシステムに不慣れな場合の進め方
現場がシステムに不慣れな場合は、操作を大きく変えない方法から始めます。紙で行っていた確認を一度にすべてなくすのではなく、FAXの仕分けや転記など、負担の大きい作業から段階的に減らします。
操作説明だけでなく、なぜ作業を変えるのか、エラーが出たときにどう対応するのかまで共有することが大切です。現場の意見を確認しながら進めることで、導入後に従来の手順へ戻ってしまう状況を防ぎやすくなります。
食品製造業のFAX受注改善を進めるための確認ポイント
- FAX受注は、取引先の注文方法を変えずに改善できる場合があります
- FAXを残すことと、手入力や紙の回覧を残すことは別の問題です
- OCRは注文書の文字をデータ化し、AI-OCRは手書きや異なる帳票にも対応しやすい仕組みです
- OCRの認識率だけでなく、商品コード変換や修正作業まで確認する必要があります
- クラウドFAXは紙の仕分けを減らせますが、入力作業の削減には別の仕組みが必要です
- RPAは定型入力に向いていますが、人の判断が多い業務では効果が限られる場合があります
- Web受注やEDIは、対応可能な取引先から段階的に導入する方法があります
- 得意先ごとの商品名、単位、注文書の違いを整理することが重要です
- スーパー、外食、給食、OEMでは、受注後の確認や連携方法が異なります
- ツールの選定前に、受注件数、作業時間、確認回数を把握する必要があります
- 導入時は対象を絞ってテストし、実際の注文書で精度と作業時間を確認します
- 費用は初期設定や月額料金だけでなく、連携やマスター整備も含めて判断します
- Office Achieveでは、新しいシステムを前提にせず、現在の業務から減らせる無駄を整理します
- 属人化を解消し、担当者以外でも処理できる仕組みをつくることが改善の目標です
- FAXを残したまま改善できるか迷う場合は、現状を整理する段階から相談できます
----------------------------------------------------------------------
株式会社Office Achieve
住所 :
東京都中央区銀座7-15-8 タウンハイツ銀座406
電話番号 :
03-5834-2605
食品製造業を多角的に支える
食品製造業の受注業務をサポート
食品製造業の人事の課題を分析
----------------------------------------------------------------------


