食品製造業のFAX受注改善|費用対効果とOCR導入の注意点・選び方
2026/08/19
食品製造業のFAX受注でミスが起きやすい原因と最初の確認ポイント
FAXそのものより手入力と確認工程に潜むミスの原因
食品製造業のFAX受注でミスが起きる大きな理由の一つは、FAXを受け取った後に人が何度も情報を扱うことです。
たとえば、注文書を見ながらExcelへ入力し、その内容を基幹システムにも入力している場合、同じ注文情報を二度扱うことになります。さらに別の担当者がダブルチェックをすれば、確認作業そのものにも時間がかかります。
問題は「FAXだから必ずミスが起きる」という単純な話ではありません。FAX受信後に、人が読んで、判断して、入力して、再確認する工程が多いほど、読み違いや転記漏れが発生しやすくなります。
そのため、担当者へ「もっと注意してください」と伝えるだけでは十分ではありません。最初に確認したいのは、注文を受け取ってから製造・出荷へ情報が渡るまでに、人が何回入力や転記をしているかです。
食品特有の商品名・単位・納品条件で起こる間違い
食品製造業では、単純な数字の入力間違いだけでなく、商品を特定する段階でもミスが起こります。
取引先が正式な商品名ではなく独自の略称を書いていたり、同じ商品でも「ケース」「バラ」「kg」など注文単位が異なったりすると、注文書を読めても正しい商品や数量に変換できるとは限りません。
さらに、納品日だけでなく納品時間、配送先、ロット、賞味期限などの指定が加わると、確認項目は増えていきます。FAXの文字を正しく読み取ることと、注文内容を正しく解釈することは別の問題です。
ミスを減らすには、どの情報を担当者の判断に任せているかを確認する必要があります。略称から商品を判断している、ケース数をバラ数へ換算している、得意先ごとのルールをベテランが記憶している、といった状態は属人化につながりやすいポイントです。
FAXを残す会社と受注方法を見直す会社の判断基準
FAX受注の改善では、すべての取引先を同じ方法へ移行させる必要はありません。
長年FAXを使っている取引先や、発注側のシステム変更が難しい取引先については、FAXを残しながら受信後の作業を効率化する方法があります。一方、主要取引先がWebでの発注に対応できるのであれば、FAXそのものを減らす方法も検討できます。
重要なのは「FAXかWebか」を会社全体で一択にしないことです。
たとえば、FAXを続ける取引先、一部をWeb受注へ切り替える取引先、定型データで連携する取引先を分ける考え方もあります。
現場で無理なく運用できることを優先し、取引先ごとの事情まで含めて方法を選ぶ方が、改善を定着させやすくなります。
受注ミスを工程別に分ける原因の切り分け方
読み取り・転記・商品特定で発生するミス
「受注ミス」と一括りにすると、対策が曖昧になります。まずは、ミスがどの工程で発生したかを分けることが大切です。
代表的には次のように整理できます。
読み取りミス
手書き文字や薄い印字、潰れたFAXなどを見誤るミスです
転記ミス
FAXからExcelや基幹システムへ数字や文字を入力する際のミスです
商品特定ミス
略称や似た商品名から、誤った商品コードを選択するミスです
入力漏れ
注文書の一部や複数ページのうち一部を入力し忘れるミスです
マスタ選択ミス
得意先、商品、配送先などの候補を誤って選択するミスです
このように分けると、「OCRを入れれば解決する問題」と「業務ルールを整理しなければ解決しない問題」の違いが見えてきます。
たとえば文字の転記が多いのであればデータ化が有効ですが、商品略称の解釈が担当者ごとに異なるのであれば、商品マスタやルールの整理も必要です。
数量・単位・納期・配送先で発生するミス
食品製造業では、数字が合っていても単位が違えば大きなミスになります。
「10」と入力されていても、それが10ケースなのか10個なのかで意味は変わります。商品によっては1ケースあたりの入り数も異なるため、数量だけをチェックしても十分ではありません。
納品日についても同様です。注文日と納品日を取り違えたり、日付を転記する際に一桁間違えたりすると、製造計画や出荷にまで影響します。
配送先が複数ある得意先では、得意先コードが正しくても納品場所の選択を間違える可能性があります。
こうしたミスが起きている場合は、入力画面だけを見るのではなく、「注文書のどの情報を、誰が、どのタイミングで確認しているのか」まで追うことが必要です。
変更注文や二重入力で起こる見落とし
食品の受注では、最初の注文だけを正しく処理すれば終わりとは限りません。数量変更、追加注文、キャンセル、納品日の変更などが後から入るケースがあります。
特にFAXと電話、メールなど複数の連絡手段が混在していると、「どの注文が最新版なのか」が分かりにくくなります。
最初のFAXを入力した後に変更FAXが届き、さらに電話で追加依頼が入った場合、すべての変更内容を正しく一つの注文へ反映する必要があります。
ここで重要になるのが、変更情報を受け付けるルールと履歴管理です。
「誰かが気づいて直す」という運用ではなく、変更が入ったときに、どこへ記録し、誰が確認し、どの時点で製造や出荷へ伝えるかを決めておく必要があります。
FAX受注を改善する方法とOCR・Web受発注の選び方
FAXを残しながら入力作業を減らすOCR・AI-OCR
FAXを廃止できない会社では、OCRやAI-OCRを使い、受信した注文書の内容をデータ化する方法があります。
FAX自体は取引先から従来どおり受け取りながら、人がすべて手入力していた工程を減らせるのが特徴です。そのため、「取引先に発注方法を変更してもらうのは難しいが、自社内の入力作業は減らしたい」という会社に向いています。
ただし、OCRは導入するだけでミスがなくなる仕組みではありません。
手書き文字やFAXの画質、帳票の形式によっては読み取り結果の確認が必要です。また、文字を読み取れても、商品略称をどの商品コードへ変換するかといった判断は別途設計が必要になる場合があります。
そのため、OCRを検討するときは認識精度だけでなく、読み取れなかった項目をどう確認するか、既存の基幹システムへどう渡すかまで確認することが大切です。
Web受発注への切り替えが向いているケース
取引先が発注方法を変更できるのであれば、Web受発注へ移行する選択肢があります。
発注側が画面上で商品や数量を選択できれば、手書き文字を読む工程や、自社側でFAXを転記する工程そのものを減らせます。
特に、注文頻度が高く、同じ商品を繰り返し発注する取引先では検討しやすい方法です。
一方で、すべての取引先へ一斉に切り替えを求めると、かえって現場や取引先の負担が増えることがあります。FAXを続けたい取引先が一定数いるのであれば、一部だけWeb化する方法も考えられます。
大切なのは、技術的に可能かどうかだけでなく、取引先が継続して使える方法かどうかです。
システム導入より先に見直したい業務フロー
受注ミスを減らすために、新しいシステムが必ず必要とは限りません。
たとえば、同じ内容を複数のExcelへ入力している、担当者ごとに確認方法が異なる、注文書の置き場所が統一されていないといった問題は、業務ルールの整理だけでも改善できる余地があります。
Office Achieveでは、新しいシステム導入を前提とせず、現在の環境のまま業務の無駄を減らす考え方を重視しています。事業案内でも「新たなシステム導入は一切前提としない」とし、現場調査から改善策の立案、実行、定着まで段階的に進める方針を示しています。
システムを検討するとしても、先に業務を整理しておけば、「何を自動化したいのか」が明確になります。結果として、必要以上に大きな仕組みを選ぶリスクも抑えやすくなります。
費用対効果と導入前に確認したい注意点
月間FAX枚数だけでは決まらない改善効果の考え方
受注業務を改善するべきかどうかは、FAX枚数だけでは判断できません。
同じ月1,000枚でも、1枚を数分で処理できる会社と、商品確認や二重入力に時間がかかる会社では負担が異なるからです。
改善前には、少なくとも次の情報を把握すると判断しやすくなります。
月間のFAX受信枚数
1件または1枚あたりの入力時間
受注に関わる担当人数
ダブルチェックにかかる時間
入力後に別システムへ再入力している回数
ミス訂正や問い合わせ対応にかかる時間
誤配送や再配送、廃棄などが発生した場合の負担
これらを確認すると、「入力時間を減らしたい」のか、「ミスを減らしたい」のか、「属人化を解消したい」のか、優先順位も見えやすくなります。
システム費用だけを見るのではなく、現在の作業にどの程度の時間と手間がかかっているかを整理したうえで判断することが重要です。
OCR導入後にも残したい人による確認工程
OCRやAI-OCRを導入するときは、「人による確認をゼロにすること」を最初の目標にしない方が現実的です。
特に食品製造業では、数量、単位、納品日、配送先など、間違えた場合に製造や出荷へ影響しやすい情報があります。
そのため、読み取り結果のうち確認が必要な項目だけを人が見る仕組みにすると、すべてを手入力する状態から「確認中心の業務」へ変えられる可能性があります。
どの項目まで自動化し、どの項目を人が確認するかは、注文書の形式や商品特性によって異なります。
「自動化率をできるだけ高くする」ことより、「誤ったデータがそのまま後工程へ流れない仕組み」を作ることが重要です。
小さく始めるための対象業務と取引先の選び方
受注業務の改善は、すべての取引先やすべての商品から始める必要はありません。
最初は、注文件数が多く、帳票形式が比較的安定している取引先など、効果を確認しやすい範囲から始める方法があります。
反対に、特殊な注文条件が多い取引先や、手書きによる自由記述が非常に多い取引先は、最初から完全自動化を目指さない方がよい場合があります。
一部の業務で試し、現場で問題なく使えることを確認してから対象を広げることで、担当者への負担も抑えやすくなります。
業務改善では、導入することより、現場で継続して使える状態にすることが重要です。
Office Achieveが重視する食品製造業の受注業務改善
現場を可視化してミスの発生工程から整理する進め方
Office Achieveは、食品製造業に特化して受注業務やバックオフィス業務の改善を支援しています。紙・FAX・Excelを使った業務についても、まず現場の実態を把握し、業務を可視化するところから進めます。
事業案内では、目標を明確にした後、現場調査と現状分析を行い、具体的な改善策を立案し、現場と一体になって実行したうえで「誰でも回せる仕組み」へ定着させる流れを示しています。
FAX受注のミスについても、「FAXだから」という理由だけで結論を出すのではなく、受信、読み取り、商品特定、入力、製造指示、出荷指示まで流れを追うことで、本当に手を入れるべき工程が見えてきます。
新しいシステムありきにしない改善方法
私たちが大切にしているのは、システムを導入すること自体ではなく、業務が実際に改善することです。
Office Achieveの事業案内では、代表が42年間食品製造業界に従事してきた経験をもとに、現場へ密着して直接支援する方針を掲げています。
食品製造業の受注業務では、営業、製造、物流など複数の部門が関係します。一部の入力作業だけを変えても、前後の情報連携が整理されていなければ別の手間が増えることがあります。
そのため、FAXを残すのか、OCRを使うのか、Web受注へ移すのかも、最初から決める必要はありません。現状を確認し、必要な改善と不要な変更を分けながら進めることができます。
相談前に整理したい受注業務の情報
受注業務について相談する際は、現在の業務が完璧に整理されている必要はありません。
むしろ、「何が原因か分からない」「ミスは起きているが、どこから直せばよいか分からない」という段階から現状を整理することが改善の出発点になります。
可能であれば、相談前に次の情報があると状況を把握しやすくなります。
代表的なFAX注文書
1日または1か月のおおよその受注件数
FAX受信後の入力先
受注業務に関わる人数
最近起きたミスの内容
現在使っているExcelや基幹システム
変更注文や追加注文を受ける方法
システム導入を決めていなくても、FAXを廃止できなくても相談できます。まずは現在の受注業務の流れと、ミスが発生している場所を整理することから検討してみてください。
食品製造業のFAX受注ミスに関するFAQ
FAXをやめなくても受注ミスは減らせますか?
FAXを残したままでも、改善できる部分はあります。
たとえば、FAX受信後の手入力をOCRなどで減らしたり、二重入力をなくしたり、商品や数量の確認方法を統一したりする方法があります。
重要なのは、FAXという受信方法だけを見るのではなく、その後にどのような作業が発生しているかを見ることです。
取引先の事情でFAXを継続する必要がある場合も、社内側の処理方法を変えられないか検討する余地があります。
手書きFAXや取引先ごとに異なる注文書への対応
手書きや取引先独自の帳票でもOCRを検討できる場合がありますが、実際の対応可否は注文書の状態やサービスによって異なります。
特に、文字が崩れている、FAX画質が悪い、自由記述が多い、独自の略称が頻繁に使われるといった場合は、事前確認が必要です。
そのため、OCRを検討する際はカタログ上の認識精度だけで判断せず、実際に使用している注文書で読み取り結果を確認することが重要です。
また、読み取れた文字を正しい商品コードへ結びつける仕組みについても確認しておきたいところです。
AI-OCRにも読み取りミスはありますか?
AI-OCRを使用しても、読み取り結果を常に無条件で正しいものとして扱えるわけではありません。
手書き文字、薄い印字、FAXによる画質低下などの影響を受ける可能性があります。そのため、導入時には「読み取れるか」だけでなく、「読み取りに自信がない項目を人が確認できるか」という運用も重要です。
特に数量、単位、納品日、配送先など、後工程への影響が大きい情報は、どこまで自動化するか慎重に決める必要があります。
基幹システムを入れ替える必要はありますか?
必ずしも基幹システムを入れ替える必要があるとは限りません。
既存システムへデータを渡せる方法があるか、CSVなどを利用できるかは、現在使っているシステムや導入するサービスによって変わります。
また、受注ミスの原因が二重入力や業務ルールにある場合は、基幹システムそのものを変更しなくても改善できる可能性があります。
システム変更を前提にする前に、現在の入力経路やデータの流れを確認することをおすすめします。
月何枚くらいから受注業務の改善を検討するべきですか?
「月○枚以上なら導入するべき」という一律の基準はありません。
FAX枚数が少なくても、1件あたりの商品確認に時間がかかる、複数システムへ入力している、ミスの修正や再配送が頻繁に起きている場合は、改善効果が大きくなることがあります。
反対に枚数が多くても、すでに入力が効率化されている会社では、別の課題を優先した方がよい場合があります。
まずはFAX枚数だけでなく、入力時間、確認時間、担当人数、ミス対応時間を合わせて整理すると判断しやすくなります。
食品製造業のFAX受注ミスを減らすための確認ポイント
FAX受注のミスは、FAXそのものだけでなく受信後の手入力や確認工程で発生します
最初に、注文を受けてから製造・出荷までのどこでミスが起きているかを確認します
読み取りミスと転記ミス、商品特定ミスは分けて考えることが重要です
食品製造業ではケース・バラ・kgなどの単位違いにも注意が必要です
商品略称や得意先独自のルールが属人化していないか確認します
変更注文や追加注文は、最新版を判断できる履歴管理が必要です
FAXをやめられない場合でも、OCRなどで入力作業を減らせる可能性があります
Web受発注は、発注方法を変更できる取引先から段階的に進める方法があります
OCRを導入しても、重要項目について人による確認を残す方法があります
費用対効果はFAX枚数だけでなく、入力・確認・修正にかかる時間まで含めて判断します
システム導入前に業務フローを整理すると、本当に必要な改善が見えやすくなります
すべての取引先を同時に変えず、小さな範囲から試す方法もあります
Office Achieveでは新しいシステム導入ありきではなく、現場の可視化から改善を進めています
FAXを廃止できない場合や、改善方法が決まっていない段階でも、受注業務の整理から相談できます
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